3年「今年の思い出」(版画)

■ はじめに
 3学期におこなった実践です。久しぶりの版画でした。

 クラスの子どもたちにとっては2度目の版画の題材とのこと。昨年の子どもたちは、先生の指示した大きな一つの版を作って、それを刷ったようでした。そこで、今回は、紙版画の体験がたぶん最後になると思い、「版を大きなかたまりにする」ことを条件に、今年の思い出になったものを自由に版に表す活動としました。当然、自由と言われても、なかなか版に表せるものを思いつけるわけではありません。子どもたちは、ああだ、こうだ言いながら、それぞれの表したいテーマを考えていきました。

 版が用紙はカレンダーになっているものを使うことにしました。子どもたちの力作を少しでも長く家庭で飾ってもらいたいという思いからです。

■ 下絵についてIMG_6466

 いつも、悩むことですが、版画で下絵を描くかどうかという点があります。イメージを具体的にしていくために下絵は重要ではありますが、反面、下絵を描くことで表すことへのエネルギーを使いきってしまう危険性が往々にしてあるのです。簡単な下絵にとどめておくように話しはしたのですが、やっぱり下絵に思いっきりエネルギーを費やして・・・という子どもたちがたくさん出てしまいました。何かもう少しいいやり方があったらしいなぁと反省した点です。また、普段子どもたちが自由帳などに描く絵は、鉛筆を使ってこじんまりしたものになってしまいます。下絵でも同じ描き方をしてしまっては、あとで版を作る段階で、あまりにも細かくなりすぎて版を作ることができなくなってしまいます。そのため、下絵は鉛筆をぎゅっと握りしめて(グーのようにして)描かせるなどの手だてはあるのは聞いたことがありますが、あまり不自然なことをさせても子どもたちのこの次生かしていける技能にならないのではないかという引っ掛かりもあり、普通に描かせてました。声はかけたものの、やはり小さく細かな下絵になってしまいました。

 それでも、そういう体験をしていく中でどのように版画では下絵を描いていけばいいかを理解させていけばいいかな?とも思い、取り組んでいきました。

■ 版を作る

IMG_6473 小さく細かな下絵から、さて版を作ろうとするとその細かさに戸惑う子どもたち。大きなパーツに変えていきながら版を作っていくように指導をしながら取り組ませていきました。版画はやはり、どれだけ見通しを持てるかということが、制作に大きく影響を与えます。子どもたちの中でも見通しを持って取り組んでいこうと意識ができる子は教師のアドバイスを聞きながら、技術的な戸惑いも少なく、思い通りの版を作っていこうとしていました。しかし、昨年などの経験があまり身に付いていない子たちは、かなり大変な作業だったようです。友だちの取り組みを見合わせながら、下絵をもとにどのようにイメージを版に表していくか、一人一人と話し合いを重ねながら製作を進めていきました。下絵が小さかったため、拡大コピーをして大きくさせたりしながら、版が用紙のスペースに見合うような版を作るように指導をしていきました。

 子どもたちは試行錯誤を繰り返しながら、思い思いの版を作っていきました。早い子たちは試し刷りの準備に入っていきました。

■ 刷り

IMG_6477 やはり試しに刷ってみないとイメージがわかないとどんどん試し刷りを始めていきました。まだパーツを一しか作っていない子でも試し刷りをしました。一つ刷ってみてだんだんとイメージがわいてきたり、昨年の経験を思い出しているようです。刷っては版作りをし、また刷る・・・この繰り返しをしていきながら子どもたちは版を完成させようとしていました。

 一概に刷るといっても、バットに必要量を広げ、ローラーに均一に付け、それを版に均一に付けていく・・・これは大人の知識であって、子どもたちはなかなか自分たちではうまく飲み込めません。とにかく、何枚か試し刷りをしていく活動を通して、どのようにローラーを使ってインクを版に付けていくかを意識させていきました。本刷り用の用紙は少し多めに注文していたので、多少失敗しても大丈夫のようにしておきました。きれいではっきりした黒と用紙の色のコントラストを意識させながら、どのくらいのローラーにインクを付けていけばいいのか、版にローラーで付けていけばいいのかを体感させていきました。初めのうちは教師がついて指導をしていましたが、早くできた子たちがあとの子たちの手伝いをし始め、教師はちょっと楽になりました。うちIMG_6452のクラスの子たちは、本当に気持ちが優しく、教え合うことがとても上手です。肝心なところは本人にさせながら(何が肝心なところかをちゃんと理解している)、うまくアドバイスをしたり、手伝ってあげたりが気持ちよくできる子たちです(・・・時間はかかりますが・・・(^^ゞ)。

 版画の一番の醍醐味は、版を版画用紙からはがすときでしょう。一人、二人と歓声を上げながら作品を完成させていきます。まだの子たちも「いいなぁ~」といいながら、一層制作の手を速めようとしていきます。友だち通しで、教え合ったり、手伝い合ったりしながら制作が佳境を迎えていきました。

■ 観賞会を開いてIMG_6471

 作品は全員、なんとか最後の授業参観に間に合って掲示をすることができました。子どもたちは、自分の作品に対する思いや苦労したところを話し、友だちの作品に対しては「○○がスゴイと思いました」「○○なところを来年の版画ではまねをしてみたい」などと素直で前向きな感想を述べることができました。予想よりかなり時間を使ってしまいましたが、子どもたちのとっていい実践だったかな?と思えるものでした。

■ 掲載した作品の解説

【1番上】「バスケットをはじめたよ」 今年から始めたスポーツ少年団のバスケット。練習をしたり、試合に(少しずつ)出たりとしていることがとてもうれしくて作品にしようとしていました。下中央にあるのはゴールリング。チームの5人でシュートをしようとしているところを工夫して作っていました。

【2番目】「楽しかった学習発表会」 学習発表会では、3年生のある一日と題して、国語や算数、社会、体育、音楽など、これまで学習してきたことの発表をしました。そこで算数の発表をしたことを版に表しました。数字が版にしてもちゃんと読めるように、何度も鏡に映して確かめながら作りました。

【3番目】「タイの田んぼのカニとり」 お母さんの実家のタイに帰省したときに田んぼでカニ取りをしたことがうれしくて作品にしました。とても造形的な感覚の発達している子で、田んぼの脇に建っていた小屋、稲など細かいパーツを作って上手にその時の様子を版に表していました。

【4番目】「楽しかったオーストラリア」 初めてホームステイで行ったオーストラリア。オーストラリアの動物園で見てきたコアラやカンガルーを一つ一つ丁寧に作って版に表しました。

【一番下】「一輪車に乗れたよ」 体育で練習した一輪車。休み時間も友だちと一緒に練習して上手に乗れるようになったことを作品にしました。練習していた校舎と体育館の間の通路の様子も上手に版にすることができました。

 この他にも、たくさん力作を作ることができました。水泳で泳げるようになったこと、和太鼓クラブでがんばったこと、海に行ったこと、ゲームをたくさんしたこと、ソフトボールの試合に出たこと、カブトムシを飼ったこと、ペットと遊んだこと、夏花火を見たこと、見学学習で消防署に行ったときのことなどたくさんの思い出を版で表すことができました。

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