4年 物語の絵「手長足長」


IMG_2180_1 秋の村の文化祭、地区の造形コンクールへ向けた取り組みで、福島県の昔話「手長足長」を絵で表すという実践です。「手長足長」の昔話は、全国各地にさまざまなストーリーのものがあります。今回の福島県会津地方の「磐梯山の手長足長」の絵は、県の作品審査会などで、会津地方の子どもたちがよく描いてくる題材でもあります。
 絵画表現に没頭するのは、一年の中で、やはりじっくり時間を確保できるこの時期しかありません。子どもたちの日常では、見て描く活動をほとんどしていないため、せめてこの時期にでも意識して取り組ませたいという思いを、題材を考える時期に抱いていました。見て描くには、小さなもの、できれば画用紙の中に収まって1:1の比率で写せるようなものから始めていきたかったため、昨年度は自分の靴を見て描く「ぼく・わたしの靴と小人たち」という題材をおこないました。今年度は、ぜひ人物表現を取り入れていきたいと考えていました。一方で絵を描くこと自体にまだ抵抗感を強く抱く子はいないものの、今回の実践でも満足感を得られるようにしていきたいと考えたため、この昔話の絵を描くことにしました。IMG_2196_1
 この物語は、さまざまな起伏のある、おもしろい場面展開で、大変ユーモラスはストーリです。魅力のある怪物、そして正義の味方であるお坊さんによるハッピーエンド。子どもたちは、おもしろい方言、明快で安心して楽しめるストーリー展開に用意に入り込むことができ、絵画表現の題材としての間口の広さは確保できているものと考えました。
 また、日本の昔話を選択したと言うこともあって、子どもたちがこれまで体験したことのない「割りばしペン」も使用するようにしました。また大小遠近、上下遠近、空気遠近といった遠近法、また画面構成の基礎も、この時期の子どもたちからは適時指導していってもいいかと考え、個別指導の事項として取り入れようと考えました。

IMG_2202_1 導入にあたっては、まずにじみ・ぼかしを利用した画面の作成をおこないました。4年生ともなるとモチーフと背景、相互を意識して表現していくことも求められるのでしょうが、モチーフへエネルギーを費やし過ぎ、背景の描写がおろそかになってしまい、結果として本意ではない作品となってしまわないようにする担保の意味合いがありました。また、久しぶりの絵の具の使用となるので、絵の具の濃度を水でコントロールする練習の意味合いもありました。
 次に、インターネットに地元の語り部による音声データがあったので、子どもたちに聞かせてみました。子どもたちは、方言の響きのおもしろさ、話の奇想天外さからとても好奇心を持って聞き入ってくれました。その後、簡単に教師と子どもたちとでストーリーを確認し合い、どの場面に興味を持ったかについて話し合いをおこないました。
 今回は割りばしペンや油性ペンによる線描をできるだけ体験させたかったので、鉛筆による下描きはできるだけしないように、理由を説明をしながら描き始めるようにしていきました。間違った場合でも上から絵の具をある程度厚塗りしたり、障子紙を3枚ほど重ね合わせたりすると見えなくなることも話をしました。これらの指導は、鉛筆で下描きをして、その後をペンなどでなぞると、線が単調になってしまうことを懸念してのことですが、どうしても鉛筆による下描きをしたい、または別な小さな紙に下描きをしたい子には、そのようにすることを認めました。IMG_2195_1_1
 描きたい場面を音声データを下描きをしている最中には繰り返し流したり、担任が聞き取って紙に印刷したもの、お坊さんの衣装、磐梯山、猪苗代湖がわかるような資料などを子どもたちが必要とあればすぐに見ることができるよう、準備をしました。お坊さんの衣装などは、子どもたちが自分で図書室から探してきたものもありました。
 線描きの表現では、手の厚みのないもの、前かがみのお坊さんが描けないもの、情景を描けないものなど、さまざまな問題がでてきました。子どもたちもわかってはいるけど、描けないという状況でした。そこで、教師が描き方を範示してみたり、同じ場面、同じ内容を描いている友だちを紹介したり、ワークシートにヒントとなるようなポイントを提案したりしていきました。
 学習発表会の前と言うこともあり、慌ただしい中での実践となってしまいましたが、全体を通して、自分の表現・作品を大切に考えていくこと、表現に集中することの声かけをとおしておこなってきたなと思いました。しかし、その結果、どの子も最後まで根気強く取り組むことができました。そして、その子なりにそれぞれの「手長足長」の世界を表現できたのではないかと思います。

IMG_2199_1 ある研究会で、これらの作品を見てもらいました。そこで、「作品主義に陥っていないか」という指摘をいただきました。確かに平成元年の学習指導要領を期に、過去の画一的な技術指導偏重の批判の反省があったことは事実でしょう。しかし、その結果として技術的な指導やよりよい作品を作り上げていこうとする実践にアレルギー反応を起こしてしまっていることについて、これまでの図画工作科実践の経緯についてまず話をしました。造形遊びのような、そのこと自体が楽しい活動も重要であるが、一方で「より高い山に登った時のすがすがしさ」を体感することも重要なのではないのかということを話しました。あくまでも重要なことはバランスなのではないかと思っています。

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